<立憲主義と平和を守る西宮のみなさんへのアピール>
~私たち一人ひとりの尊厳と子どもの未来を守りましょう~


70年前の西宮は焼け野原で、JR西宮駅のホームからは海が見えました。

5回にわたる空襲で825人が亡くなりました。

学徒出陣した関西学院の学生は281人が戦死しました。

「火垂るの墓」で小さな命を失った清太と節子の住まいは満地谷のニテコ池でした。

 


日本国憲法のとる立憲主義は、一人ひとりの個人を尊重することを目的とし、

権力が暴走して人権を侵すことのないように、憲法によって権力をしばることを根本としています。

そして、日本国憲法は、戦争への切実な反省から、憲法9条で徹底した平和主義をとりました。

その下で、歴代内閣は一貫して集団的自衛権は「行使できない」としてきました。

その結果、日本は、戦後70年間どの国とも戦争をすることがなかったのです。

 


ところが、安倍政権は、反対や慎重審議を求める多くの世論を無視し、

国民投票による正式な憲法改正手続をとることなく、2015年9月に新安保法制の成立を強行し、

解釈で憲法9条の中身を変えてしまいました。

これは、明らかに立憲主義に反しています。

そして、現政権が改憲の第一歩にしようとしている「緊急事態条項」は、

立憲主義を壊し、独裁政治につながるとても危険なものです。

 


日本を、そしてこの西宮の地を、再び戦火に巻き込ませてはなりません。

清太と節子の悲劇をくり返さず、平和を子どもたちにつなぎましょう。

そのためには立憲主義を守り、新・安保法制を廃止することが必要です。


そこで、私たちは、この西宮で、主権者として一歩ふみ出し、

一人ひとりができることをしていく決意をしました。

一人でも多くのみなさんに賛同いただきますようお願いいたします。

(2016年4月9日)

 

 

<2016年参議院選挙結果を受けての声明>

2016年7月10日に行われた参議院選挙の結果、

いわゆる改憲勢力が参議院の3分の2以上の議席を獲得しました。

兵庫県においても、今回改選された3議席に非改選2議席を加えた5議席全てが

改憲勢力によって占められるという結果となりました。

これにより、現政権下において憲法改正の発議ができる状態となり、

今後、憲法改正の国民投票が行われる可能性が高まっています。
 

改憲勢力の中心である自民党の改憲案は、

個人の尊厳の尊重をないがしろにし、

天皇を元首にして憲法に縛られない存在とする一方で、

国民を憲法によって縛られる存在としています。

これは、近代民主国家の基本ルールである立憲主義を根本から否定し、

実質的に戦前の立憲君主制に戻そうとするものに他なりません。

また、自民党の改憲案は、日本国憲法第9条をも変更し、

国防軍を創設し、集団的自衛権の行使を正面から認め、

戦後70年間日本を戦争から遠ざけてきた平和主義を放棄しています。

さらに、改憲の第一歩と目される緊急事態条項は、

独裁政治につながる非常に危険なものです。

この自民党の改憲案によって、私たち一人ひとりの尊厳と平和が、

まさに危機に瀕していると言えます。
 

しかし、一方では、今回の参議院選挙において、

立憲主義と平和を守ろうとする市民が立ち上がり、

その声に押された野党が共闘し、一定の成果をあげました。

希望の芽は残っています。

今直面している危機を乗り越えるための拠り所がここにあるのではないでしょうか。
 

私たち「立憲主義と平和を守る西宮の会」も、

平和で個人の尊厳が尊重される社会をあきらめず、西宮の地で、この希望を育てていきます。

当会の呼びかけ人・賛同者一人ひとりが、尊厳に目覚めた個人として、主権者として、

立憲主義と平和を守るためにできることを精一杯していきましょう。
まずは、憲法とは何か、立憲主義とは何か、

自民党の改憲案がどのようなものか知らされていない方が大半ですので、

周りの方々に、その内容を伝えていきましょう。

また、そのことを通じて、

当会のアピールへの呼びかけ人・賛同者の輪を大きく広げていきましょう。

 

そうすることで、この大きな危機を乗り越え、

本当の意味ですべての個人が尊厳を尊重される平和な社会を、

子どもたちに贈りましょう。
(2016年7月29日)